ヨルバ島

黒い火山岩の岩壁、その切れ目に小さな西浜。古い溶岩の岩棚は昼の熱を夕方まで残し、暗がりに強いもぐが隙間から出てきます。夕方には火を消す家と、これから火を入れる家が半々ほど。雨戸の裏の白い布が、今起きている家の目印です。
岩を除いた小さな畑で豆と芋を育てます。乾いた芋や、岩の地面でもぐらつきにくい底の広い焼き物が、ほかの島へ渡ります。
西浜から五十分登る山腹の洞は、溶岩の内側が空いた場所。渡り鳥が羽を休め、風で入った葉や鳥の落とし物が少しずつ土を作り、洞の縁に草を育てます。
みつるが泳ぎ去ったあと、岩棚の底石に琥珀色の光が残る晩があります。子どもたちは「海の寝返り」と呼びます。朝には消え、海水ごと器にすくっても、持ち帰る間に光は消えてしまいます。
舟旅の覚え書き
カヤから西浜へは約42km、帆走8〜10時間。夜の岩棚では灯りを高く掲げず、足元の石を一つずつ確かめて歩きます。