アシロ島

ナロ諸島でいちばん広い島。低い尾根の両側に麦と豆の畑、小さな集落が散らばります。晴れた日に尾根へ上がれば、周囲の五島を見渡せます。人の道を西へたどるうちに、靴跡はまばらになり、草を分けるもぐ一匹分の道へ変わっていきます。
東岸のカヤ村では、春は畔の虫を追う小型のもぐ、秋は落ちた豆を拾うもぐが畑の隣人です。落ち葉は全部掃かず、畑の外に虫や小さな生き物の居場所を残します。
カヤから南西へ三十分ほど歩くと、水田のある浅い谷へ。収穫後の刈り株にはカエルが集まり、水辺のもぐが虫を探します。低い位置に残る古い取水口は、祖父母の代の大雨で沢が曲がった跡です。
米、麦、豆、根菜は袋や籠に詰められ、入り江から各島へ渡ります。ウネの味噌にも、セラの塩と一緒にアシロの豆が入っています。
舟旅の覚え書き
島々は見えるほど近くても、舟旅は半日から一日。風が変われば、帰りが数日延びることもあります。