もぐ日和世界の案内帖

用語集

地名、人名、種名、暮らしに使うことば。

ホエリ、ヤブミミ、ミズワタリの図譜
アシロ島アシロとう
諸島の中央にある最も広い島。低い尾根を挟んで畑と集落が散らばり、米、麦、豆、根菜を育てます。ミナの故郷カヤ村は東岸にあります。
イワメイワメ
岩壁にすむ夜行の鳥型もぐ。白い顔羽で音を集め、巣口の小石の音で来訪を知ります。冬のカヤへ来る若い個体は、胸の斑点からごまと呼ばれます。
ウネ島ウネとう
アシロの北の、霧の多い島。斜面で茶を摘み、峠から下る水のそばで米や豆を醸します。アシロの豆とセラの塩が、ここで味噌になります。
うまれたて
まだ脚や耳が体に埋もれるような最初の幼い姿。ホエリなら麦粒に似た丸い体で、腹を地面につけて進みます。
海の寝返りうみのねがえり
ヨルバの岩棚で、みつるが通った後に琥珀色の光が残る現象。底の石に濃く見え、朝には消えます。どんな晩に長く残るか、島の人にも言い当てられません。
おとな
それぞれの採食や移動に適した胴と手足が育った姿。成体になるまでの時間も、大きさも、種や個体によって違います。
返し鉢かえしばち
近所で料理を分ける深鉢。洗って返す日も、別の煮物を入れて返す日もあります。底の家ごとの印は、持ち帰る子どもが帰り先で迷わないためのものです。
カゲネカゲネ
根や岩の影を渡る、桃色と灰色の毛を持つ種。小動物を捕り、倉の梁も巡ります。ももという呼び名は、朝の光を受けた頬の色からつきました。
口合わせくちあわせ
同じ鍋から取り分けた料理を、食べる相手に合わせて仕上げること。大きさ、硬さ、水分、温度、まとまり方を変え、同じ種でも個体ごとの食べ方を見ます。
こむぎ・まめ・しずく
ミナたちが身近な個体につけた名前。種としてはホエリ、ヤブミミ、ミズワタリです。こむぎとガロは、年も体つきも違う同じ種のもぐです。
下のかまどしものかまど
カヤの浜と村道の間にある共同の炊事場。畑帰りと舟帰りが集まります。丘側には今も「上のかまど」があり、収穫時に大鍋を使います。
セラ島セラとう
アシロの南にある低い島。干潟と塩場を持ち、塩、干し魚、海藻を送り出します。雨の多い初夏には塩作りを休み、槽や釜を手入れします。
ちびっこ
手足や翼が開き、自分で身の回りを探り始める頃。巣口で葉をかじったり、胸毛に油を塗ったり、種ごとの仕草が見えてきます。
とっておき
成体らしい襟毛、房、冠羽などが十分に整い、体つきが落ち着いた姿。年老いたものを指す言葉ではありません。
トヌ島トヌとう
アシロの西にある森の島。谷ではきのこ、乾いた尾根では栗やくるみが採れます。木材と木の器、干しきのこがほかの島へ渡ります。
ナロ諸島ナロしょとう
アシロを中心に六つの島と小さな岩礁が浮かぶ地域。帆と櫂の舟が食材や道具を運び、人ともぐの暮らしをつなぎます。
ニカ島ニカとう
アシロの東の港の島。内港と市場坂に六島の荷が集まります。月に二度は夕市が立ち、夜に活動するもぐの食卓も支えます。
ホエリ〈穂襟〉ホエリ
ガロやこむぎが属する種。穂のような束毛が首を囲みます。里山で種子や根、虫を食べ、成体は血縁を越えて幼体の集まりを見回ります。
ミズワタリミズワタリ
雫形の幼体から、長い首と脚を持つ鳥型へ育つ種。浅瀬で虫などを探し、小枝で休み場所を作ります。ミナが食事を分けるしずくもこの種です。
ミツバオミツバオ
沿岸林に暮らす、育ちきると尾が三本になる種。果実や虫を食べ、硬い殻や熟した実を交換します。ニカの舟によく乗るゆずが、カヤではおなじみです。
もぐ
成長の節目に姿を大きく変え、道具や身振りを覚えて暮らす生き物の総称。毛のあるもの、羽のあるもの、水辺にすむものがいます。声、姿勢、匂い、触れ方で伝え合います。
ヤブミミヤブミミ
葉脈のような血管の走る大耳を持つ種。草地と藪の境にすみ、若草や柔らかい樹皮を食べます。まめはカヤの人が身近な個体につけた名前です。
ヨルバ島ヨルバとう
アシロの北東にある、黒い火山岩の島。岩棚や洞には夜に動くもぐが多く、夕方は火を消す家と新たに火を入れる家が並びます。
わんぱく
脚や翼、顔つきが育ち、行動範囲が広がる頃の呼び方。静かな個体にも「わんぱくの頃」はあります。

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