三つ、四つ、冬の石
いつも三つだった、ごまの皿の石。数が増えた夜、ミナは「ありがとう」の意味を急いで決めたくなる。
ごまの皿には三つの石がある。白、灰色、白。ミナは朝、空いた魚の皿を見るのが好きだった。夜に来る若いイワメの姿はなかなか見られないのに、三つの石なら毎日会えた。「ありがとうってことかな」と言うと、トキは「かもしれないし、違うかもしれない」と、いつも同じ返事をした。
ある朝、四つになっていた。小さな黒い石が、白と灰色の間へ挟まっている。前の晩は、身の厚い魚を少し分けた。ミナは得意になり、母へ話した。「おいしかったから、一つ増えたんだ」。サヨは鉢を洗う手を止めず、「ごまがそう言ったの?」。ミナは、言わなくても分かる、と答えたかった。
翌晩、同じ魚を同じ大きさに分けた。骨を外すところはトキに見てもらい、器の横へ置いた黒い石を、見やすい外側へ動かした。戸を閉めるとき、ミナはもう翌朝が待ち遠しかった。五つになっていたら、これがいちばん好きな魚だと、誰にでも教えられる。
夜半から風が強まった。朝、石は三つだった。魚が少し残り、黒い石は皿の下へ入っている。ミナは昨日の話をしたくなくて、黙って水をくんだ。トキは魚の残りを片付け、空いた皿の縁を指で押した。かた、と音がした。もう一度押すと、同じところで傾いた。
石台は平らに見えるが、奥側が少し低い。黒い石を元のあたりへ入れると、器は揺れなくなった。「これだったの?」とミナは言った。トキは首をかしげた。「ごまが置いたところを、今夜見てみよう」。答えが出たようで出ないのは、ミナには少し面倒だった。それでも夜を待った。
その日は母も残り、三人で火口から離れた柱の陰へ座った。油灯は手元だけを照らした。ごまが降りたのは、ミナがあくびを三度したあとだった。耳のような羽を立て、皿の縁を足で触る。かすかな音がすると、食べる前に身をかがめ、嘴で黒い石を押し入れた。
ごまは三つの石を縁へ並べた。ミナの方は見なかった。ゆっくり魚を食べ、風が緩んだときに羽を広げた。白い顔が闇へ持ち上がり、石だけが低い灯りの中に残る。ミナは追って外へ出ず、母の袖に鼻を押し当てた。寒さと、分かったことと、分からないことが一緒に胸へ入った。
翌日、母が底の安定した鉢を選び直した。黒い石は台の脇へ残した。三つの石の意味は、まだ誰も決めなかった。ミナは木の板へ「揺れると、下を見る」と書き、少し離れたところに「おいしいかは、また見る」と足した。書き終わってから、魚の皿をいつもの場所へ運んだ。
