もぐ日和世界の案内帖
ウネ島・茶畑の坂と古い石段

草の背丈の地図

ウネで見つけた、行き止まりの石段。地図に道を描きたいミナは、草の下に別の通り道があることに気づく。

舞台:ウネ島・茶畑の坂と古い石段
登場:ミナ、サヨ、茶摘みのシノ · 約3分

ウネの坂で霧が切れたとき、ミナは地図を逆さに持っていた。前の日に母と舟で渡った島で、届ける鉢の絵も、自分の足跡も、木の板の上では仲良く同じ方を向いている。案内のシノが笑った。「海を背中にすると、坂はいつでも上りだよ」。ミナは板を回し、海のところを大きく描き足した。

茶畑の端に、途中で消える石段があった。落葉の間から四段だけ見え、その先は細い木と草に隠れている。シノは、昔は上にも茶畑があったと教えてくれた。「ここを通れば、近道?」。ミナが尋ねると、シノは先に足元の石を杖で確かめた。母は荷を下ろし、濡れた前掛けを絞った。

今の道を外れてすぐの広い踊り場までは、大人と一緒に入れた。上の段は土が流れ、段差の向こうを笹が覆っていた。ミナは地図に、かまどの煙みたいなぐるぐるを描こうとした。通れない場所にはそういう印をつけるつもりだった。けれど、しゃがんだところで炭を止めた。

一番下の石の下に、磨いた木のような細いすき間が続いている。葉が同じ向きに倒れ、土には小さな足跡が重なっていた。目でたどると、石のくぼみに水がたまっている。「ここは、行き止まりじゃない」。ミナが指すと、シノも膝を曲げた。母は木の板を持ち、二人の頭の上に影を作った。

しばらくすると、尾を体に巻きつける小さなもぐが石の裏から出た。水の縁を嗅ぎ、ミナたちの方へ顔を上げ、また同じ道へ引き返した。シノが小声で、つきもだと教えた。追わずに待っていると、足跡の細い線だけが残った。ミナには、自分の地図の太い道が急に大きすぎて見えた。

「昔の人は、こっちを上がったの?」「葉を摘んだら、こっちを下りた」。シノの祖母は、重い籠の底を一段ずつ休めたという。今は葉を蒸す小屋が下にある。ミナは人の道を点々で描き、石の裏の道を細く引いた。途中で二本が重なり、また別れた。ぐるぐるの印は使わなかった。

帰りの踊り場で、シノが湯を分けてくれた。茶葉はあとから少しずつ入れる。ミナは湯気越しに地図を見せ、つきもの顔を描いたら、石段が隠れたと訴えた。母は「その子を別の板に描けば」と言ったが、ミナはしばらく考え、顔の横に小さな石段をもう一つ足した。

カヤへ戻ってから、板は家の棚に立てた。来た人が島の形を尋ねると、ミナは表を見せる。道を尋ねると、裏を見せる。裏には草の葉が何本も描いてある。いちばん上に「しゃがんでみるところ」と書いた。そこだけは、母に字を確かめてもらった。

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